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施肥設計をしてみよう!

施肥設計は非常に難しく土性や含有量によっても変化してきます。土壌診断ではそれぞれの成分含有量が調査できますが、リン酸塩など難分解性の成分も数値として出てきますので、注意が必要です

各県に必要な施肥量の基準があります。        

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/

例・青森県りんご

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/aom03-3.pdf

秋田県野菜栽培技術指針 メロンやスイカなど

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/aki3-11.pdf

→P7【施肥例】㎏/a窒素1㎏、リン酸2㎏、カリ1㎏とあります。10a(1反、100平米)の場合は単純に10倍の計算値で計算すると良いと思います。

これを元に計算していきます。一般的な発酵鶏糞を使用して必要量を計算していきます。

発酵鶏糞はNPK(窒素N,リン酸P,カリウムK)N3、P6、K3が平均だそうです。

この数値は%パーセンテージで表記されており、20kgの発酵鶏糞を購入した場合に各成分の含有量は下記の計算値になります。

窒素量は  20kg×0.03(3%)=0.6kg

リン酸は  20kg×0.06(6%)=1.2kg

カリウムは 20kg×0.03(3%)=0.6kg

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メロン1aに必要な施肥量はN1kg、P2kg、K1kgであるため必要な発酵鶏糞量は下記の通りになります。

必要な発酵鶏糞量をxとすると。

窒素

20kg : 0.6kg(鶏糞20㎏のうち0.6kg窒素)= x : 1 →0.6x=20 →x=20÷0.6 →x = 33kg

リン酸

20kg : 1.2kg(鶏糞20㎏のうち0.6kgリン) = x : 2 →1.2x =40 →x=40÷1.2→x=33kg

カリウム

20㎏ :0.6kg(鶏糞20㎏のうち0.6kgカリ)= x : 1 →0.6x=20 →x=20÷0.6 →x = 33kg

分かりづらいので、簡単に言うとリン酸なら、その成分量(今回なら1.2kg)で全体(鶏糞の重さ20㎏)を割り算して、施肥したい量(今回なら2㎏入れたい)を掛け算すると算出されます。分かりづらかったらすみません。。。

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綺麗に計算ができましたが、最低量として33㎏の発酵鶏糞が必要と言えます。

しかし、すべてがキレイに吸収できるわけではないので注意が必要です。化成肥料などは、吸収効率が良いですが、流亡もしやすいため根が張らない時期に施肥をすると無駄が多いことになります

窒素について

→トマトなど生育成長と生殖生長を繰り返して行く場合は徐々に窒素要求量が増えある時期から横ばいになります。

→菊などは出蕾期までは窒素要求量が徐々に増えそれ以降は窒素量を制限しなければ病気の原因となります。

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→ほうれん草などの葉物野菜は窒素要求量がピークの地点で収穫します。収穫時期に窒素量が不足していると黄化になり、多すぎると硝酸態窒素の未消化になりえぐみの原因になります

リン酸について

アルミニウムの多い土の場合はリン酸吸収係数が高くリン肥効が落ちるためこれを考慮したリン酸の施肥量を決める必要があります。リン酸過剰の症状はあまり出辛いですが逆に不足すると生育不良の原因となります。リン酸はミネラル分(マグネシウムやカルシウム)と結合して吸収されますが、結合力が強いものは塩(しおではなく結合物を指す)となり吸収されません。そのため、土壌診断結果でリン酸値が充分でも使用されていない場合があります。前年の施肥量から変化していない場合は「塩」となっている場合があるためその分施肥量を増やすもしくは、腐植酸や酢酸、クエン酸による分解を促す必要があります。

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カリウムについて

カリウムは作物の構成要素ではなく、栄養を循環させる補酵素としての役割です。戦後米国から収量を上げるために輸入されたという説ががあります。カリウムは特に不足しても問題ありませんが、収量や食味に影響してきます。大切なのはマグネシウムやカルシウムとのバランスです。バランスが崩れると吸収が阻害され土壌に充分成分があるにもかかわらずカルシウム欠乏やマグネシウム欠乏の原因となります。

トマトのカルシウム欠乏はEC値が高い場合に起こることもあり一概に不足しているとは言い難いです。

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苦土石灰などは土壌pHの調整で使用されることが多いですが、これらは難分解性であり吸収されるまで5年ほどかかると言われています。栄養分が吸収されているか否かは土壌成分の変化量を見る必要があります。苦土石灰等を施肥し栽培後成分が増えたままの場合は使用されていないということになります。

 

肥料設計は非常に難しく、それぞれの地域特性や品種さらには肥料成分の種類によって変化していきます。

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